山形すき焼き旅行(後編)
2010年 10月 17日
まずは、米沢市街に戻って、日本キリスト教団米沢教会(旧・米沢中央教会)を見物。
1階に集会所があり、2階に礼拝堂がある構成の教会建築のようでした。
外壁は新建材に貼り替えられているのか、ペンキを塗り重ねた凹凸は見られませんが、鐘楼を戴いた建物の外形はもちろん、アーチを描いた玄関ポーチや窓構成などは、洋館らしさを残しています。
続いて、同じく米沢市内の毎日新聞の販売店である岡田新聞店。
1階は店舗としての制約を受けながら、2階は縦のラインを強調した窓構成に、窓頂部をスクラッチタイルで立体的に造形し、装飾しています。
さらに米沢駅前で見たのは「ホテルおとわ」本館で、国登録文化財の建物は昭和12年に建てられた音羽屋旅館の建築。
梵鐘のような形をした窓やカラフルな窓枠から、竜宮城のような印象を受けます。
建てられた時期から鉄筋コンクリート造りかと思いきや、木造3階建てとか。
現在はビジネスホテルのような位置付けのようで、本館和室にも比較的リーズナブルに泊まれるようです。
米沢市の最後は、たまたま通りかかった建物で、米沢織の織元・東匠猪俣です。
背の高い蔵にただならぬ雰囲気を感じて覗き込んでみたら、運転していたsuzeさんに「ちょっと止まってください」とお願いしてしまいました。
個人住宅の玄関と思われる奥の建物が、スゴかったです。
比較的小振りな建物に、かなりしっかりした大きな玄関ポーチが備えられています。
2階バルコニー上には付け柱に柱頭の装飾がされていたり、窓周りに段状の枠が装飾がされていたり、シンプルな中にも手が込んでいました。
米沢から車で1時間ほど走って、南陽市にある山形鉄道の宮内駅へ。
映画スイングガールズに出てくるローカル線のようです。
幹事suzeさんが見に来たのは、うさぎ駅長「もっちぃ」。
恥ずかしがり屋なのか、隠れていました。
ちなみに、助役は亀でした(ウサギとカメからか?・・・笑)。
宮内駅から少し行ったところには、宮内教会がありました。
木造モルタル塗りの建物は、昭和8年に建てられたようです。
比較的小振りですが、礼拝堂にはアーチ窓が並び、鐘楼の上の方には、左から「置賜日本基督教会」と鋳物の銘板が貼られていました。
入り口が4枚ぐらいの引き戸なのも珍しかったです。
その近く、熊野大社への参道にあったのが、海野理容室。
宮内教会と同じく木造モルタル塗りで、昭和4年に建てられたそうです。
色違いのモルタルで塗り分けられた窓周りのシマシマや、屋根破風部にある草花の装飾、正面両端に伸びた付け柱と柱頭装飾、パッという華はありませんが、ウッと唸らされるポイントが随所に散りばめられていました。
今回の山形での足は、suzeさんの日産エクストレイル。
昨年の、越後妻有トリエンナーレ巡りでも乗せていただいた車です。
少し遅めのお昼ご飯は、寒河江の蕎麦屋「吉亭」。
前回の山形旅行で気に入った「冷やし鶏そば」。
前回の日記を見ると、食べたのは肉そばでした。
どおりで、三つ葉とかネギがゴロゴロ入って、印象が違うわけでした。
私は1人新潟へ向かうため、山形駅で降ろしてもらいました。
ただ、列車までちょっと時間があったので、見損ねた建物を2つばかり。
1つは、山形カトリック教会。
ちょうどバリアフリーなどの改装工事中だったようでしたが、尖塔を戴く教会堂は大正15年の建築。
ここの司祭館と思われる建物も、下見板張りの風格ある建物でした。
丸窓がいい雰囲気の茶色く塗られた窓枠などは、元の部材が露出しているようですが、下見板風の外壁は新建材なのかキレイに張り替えられていました。
もう一つは、山形市立の旧第一小学校。
昭和5年に建てられた鉄筋コンクリート造りの校舎で、登録文化財指定を機に耐震補強を行ない、「山形まなび館」というギャラリーとして、一般に公開されました。
ただし、美術展などが行われるためか、館内は撮影禁止。
中央階段は上まで昇れますが、公開されているのは1階と地階だけで、2階以上は壁が設けられて、見渡すこともできませんでした。
アーチを描いた玄関ポーチが立派です。
門や塀も、建物のイメージを踏襲していて、モダンなイメージでした。
山形駅に戻って、719系電車に乗って米沢へ。
米沢からは、米坂線で新潟方面へ。
新潟駅直通の快速べにばな号に乗車。
快速といっても、普通のローカル列車と同じキハ110系でした。
山形から新潟まで4時間。
前夜飲み過ぎたため、さすがに車内で飲む気はしませんでした(苦笑)。
すき焼きを堪能しつつも、建物も十二分に堪能した山形旅行でした。
(私信)
幹事suzeさん、毎度ありがとうございました。 どしるさん、お疲れさまでした。
私も米沢に行ったのですが、あの頃は洋館見学熱がさほどでもなく……
夫に付き合って、上杉の足跡をたどるのような旅でした。
おまけに楽しみにしていた米沢牛も何だかイマイチな店で……
もう一度、行かなくちゃいけませんね!
織元・東匠猪俣邸?、良いですね!
個人のお宅だと思うと、なおさら……
地方都市には、まだまだこういった建物が残っているので、
今のうちにせっせと観にいかねば(笑)
東北の洋館は北国だと思うせいか、すっくりときれいな気がします。
山形は、元々洋館が多いこともあるのでしょうが、よく残っています。
観光名所が多い街では、洋館以外の目的で行って、後で調べたらスゴイ建物があった、ということもありますよね。
有名建築以外は、ネットで探すか、足で探し回るかしかないですが、こういう掘り出し物を見つけると、うれしくなります。
ただ、人知れず取り壊される可能性も非常に高いので、本当に、せっせと見に行かねば、ですね。
米沢牛も堪能しに、ぜひまた米沢へも見に行ってください。
旧山形市立第一小学校、先日訪ねた時はまだ公開していませんでした。近く行って、内部を見てみたいものです。
次回は、県北~庄内の建築もご一緒できればと思っています。
その際は寒河江のもつ焼きの名店に、ぜひ行きましょう。
その節は、毎度の幹事ありがとうございました。
第一小学校は、保存目的というよりは展示目的が強いようで、ちょっとキレイになりすぎていました。
庄内は、私もしばらく行っていないので、もつ焼き屋さんも含めて、次回もぜひ。