文京区の洋館巡り

土曜日は珍しく梅雨の晴れ間だったので、都内の洋館巡りに行ってきました。
(前もってわかっていれば、箱根に朝駆けに行ったのですが・・・)


昼前に家を出て、東京大学本郷キャンパス前の万定フルーツパーラーへ。
お店の創業は大正3年とのことですが、建物の躯体としては明治末期に建てられ、昭和初期に改装されて現在に至っているようです。
昭和初期らしい、アンティークな造りです。 出入口上には半円アーチ装飾が、2階窓下には出窓受けの装飾が施され、屋根の前には建物を大きく見せるかのように縦筋の入った板を立ててあります。

d0054855_963293.jpgd0054855_965772.jpgd0054855_964476.jpg









店頭の看板自体は特に古くないですが、ショーケースはまさに古い喫茶店そのもの。
扉を開けてまず目に付くのはレジ。
機械式のアンティークなもので、このお店の目玉の一つとか。


店内は、時間が止まったかのようなアンティークな空間です。
座ったときの目線の高さまで、いい色に落ち着いた木が張られ、洋館の客間か食堂のようなイメージですが、立ったときの目線の高さには鏡がはめ込まれ、身だしなみに使ったり、店内を広く見せるような効果を狙ったのかも知れません。

d0054855_9125886.jpgd0054855_9131279.jpg









いただいたのは、好物のハヤシライス。 このお店の看板メニューでもあります。 甘めのルーに、大きめの角切り肉がゴロゴロ。 お皿半分にキッチリ盛られたご飯は、すごいボリュームでした。
またフルーツパーラーと謳うだけあって、生搾りのジュースもあります。







本日のメインターゲット、求道会館です。 万定フルーツパーラーのすぐ近くです。
僧侶であった近角常観(ちかずみじょうかん)が信仰を説く場として、大正4年に建てました。
その後、講話をする人がいなくなった昭和20年代末から使われなくなり、荒れるに任せていたところを、平成になって東京都と文京区の補助を受けて修復されたそうです。

d0054855_940378.jpg


外観はキリスト教の教会のようですが、れっきとした仏教(浄土真宗)の施設です。
お寺と書かかないのは、お寺と違って檀家や墓地はなく、純粋に仏教講話を聞かせる場であったためです。 中に入っても、キリスト教の教会のようです。

d0054855_9403539.jpg


イスに座る形式も側廊や回廊も教会のようですが、正面には阿弥陀如来を祀った六角堂が据え付けられ、よく見れば仏教の教えを説く施設であることがわかります。
近角常観は、日本における仏教と比較するため、欧米留学中にキリスト教について様々な角度から研究したそうで、教えを説く施設の形としてキリスト教会の様式が適していると考えたのでしょう。
近住常観の存命中(昭和16年没)は、講話を聞く人で2階まで一杯だったそうです。

屋根組みはトラス構造で、2×6材で組まれているそうです。
「ほぞ」と「ほぞ穴」を組み合わせた日本古来の方法でも、金属部材と構造材同士を接合する近年の方法でもなく、規格材同士を複数枚組み合わせて交差部をボルト留めしています。

d0054855_9405145.jpgd0054855_941454.jpg










2階の手すりは、万字をモチーフにしたデザインで、とても凝っています。
数が多くないためか鋳物ではなく、金属棒材を曲げて溶接(?)して組んでいるそうです。
この高い天井は音響効果抜群のようで、ときおり開催されるコンサート(現在はホールとして貸し出している)などでは、演奏者が驚くほどだとか。

d0054855_941176.jpgd0054855_9412984.jpgd0054855_9414135.jpgd0054855_9415273.jpgd0054855_942419.jpg




正面2階のアーチ窓上部にはめ込まれた5連のステンドグラスは、設計者である武田五一によるもの。 中央の幹から左右に広がる大木も、広く教義を伝えるという宗教的な意味合いを持たせていたのではないかと思われます。

この求道会館は、毎月第4土曜日13:00〜14:30に一般公開されています。
公開の形態としては、自由見学ではなくて講義と案内という形。 建築家で近住常観のお孫さんが、常観のこと、建物のこと、武田五一のことなどを、静かな語り口調ですが熱く語ってくださり、1時間半があっという間に過ぎてしまいます。 欲を言えば自由見学時間が15分でもあれば・・・。
くわしくはこちらをご覧ください。


細く入り組んだ文京区の高級住宅街(白山とか)をテレテレ散歩しながら、次の目的地である小石川植物園(文京区白山)へ。
江戸幕府・徳川家の御薬園(薬草を育てたり研究していた)を前身とする植物園で、現在は東京大学が管理していることから、正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」というそうです。
植物園について詳しくはこちらをご覧ください。

d0054855_12121464.jpg正門前のタバコ屋で入園券(330円)を買って入ります。
緑のトンネルをくぐりながら広大な敷地を歩くこと15分ほど。







御薬園のさらに元となった白山御殿(5代将軍綱吉が館林城主時代の別邸)の名残と思われる日本庭園越しに、尖塔を戴いたピンク色の洋館が見えてきます。
こちらは、旧東京医学校本館。 現在の東京大学医学部の前身の建物で、明治9年の建築。
創建当初は本郷キャンパス内に建てられていましたが、昭和44年に現在地に移築され、重要文化財の指定を受けたそうです。

d0054855_1230051.jpg


その後、手入れもされず荒れていったという話も聞いていましたが、平成13年に東京大学総合研究博物館の一施設(小石川分館)として公開するにあたり、大々的に修復されたようです。
ちなみに博物館は植物園の敷地外にあり、無料で見学できます。 が、建物の全景を望めるのは植物園からだけ。 なかなか罪な敷地構成です。

d0054855_12333396.jpgd0054855_12335325.jpg









館内には動物の剥製や教育機材などが展示されていますが、修復に当たって元の柱を視覚的にクローズアップさせたり、天井板を張らずに屋根組みを見せたり、とお仕着せないまでも建物にも目が行くような形にしていました。
正面ポーチ部(出入口は背面側)は植物園の日本庭園を望む休憩所になっていて、そよ風を感じながらのんびりできました。
小石川分館について詳しくはこちらをご覧ください。

園内にはこの他に、大正5年築の柴田記念館もあるのですが、一旦植物園を出てしまったので今回は断念。
桜の季節か葉が散った冬にでも、また撮りに来たいと思います。


本当はこの後に鳩山会館にも行きたかったのですが、4時閉館と早かったため時間切れ。
求道会館の見学が予想以上に時間がかかったためですが、近いのでまたそのうちに。
[PR]
トラックバックURL : http://okuruma.exblog.jp/tb/3297642
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by COOPER99 at 2006-06-25 14:09
あれっ、今日はビール無しですか?。(笑)
また今日もいいもの見させていただきました、それにしてもたくさん有る
ものですねぇ。
Commented by 妃な香 at 2006-06-25 15:55 x
求道会館、なかなか行けずじまいですよねえ。
小石川植物園行きたいんですが、今は虫が・・・(´Д`;)
今年の冬には絶対行こうと思っています。
園内は結構歩きます?柴田記念館も見たいので、園内をつっきる感じになるかなあと想像しているのですが・・・。
Commented by ユリコ at 2006-06-25 18:02 x
求道会館は公開しているんですね。今度行ってみよう。
小石川植物園もまだ行ってないんですよね~。

万定フルーツパーラーのゴハン、多かったですか?
私は物足りなかったです・・・(食いしん坊バンザイ)
Commented by giacomo_pcn at 2006-06-25 20:22
文京区にもこんなにおクルマさん好みの建物、あるんですねっ。
5連のステンドが素晴らしいです。それに対するおクルマさんの洞察も!
小石川植物園は、小学校の頃にドロケイやりに遊びに行きました(笑)
Commented by Celeste at 2006-06-25 23:38 x
おー、東京のど真ん中にもこんな物件があるんですね。親に連れられて小石川植物園に行ったことが有るとか無いとか…ワタシの記憶には残っていません。。
Commented by okuruma1970 at 2006-06-26 00:14
>>COOPER99さん
暑かったので本当は飲みたかったんですが、小石川植物園は飲酒禁止で(笑)。
都内は人知れず結構多いんですよぉ。

>>妃な香さん
求道会館、前回は時間足らずで寄れませんでしたが、オススメです。
小石川植物園はお散歩と思えばいい感じですが、正門から柴田記念館回りで旧東京医学校まではグルッと半周、結構歩きますよ(意外と高低差も)。
Commented by okuruma1970 at 2006-06-26 00:28
>>ユリコさん
万定フルーツパーラーは、ユリコさんを見習って行ってみました。
ユリコさんは痩せの大食いなんですか? 次回は大盛りにレッツチャレンジ。
求道会館は月一公開なので、ライブと調整して是非どうぞ。

>>giacomo_pcnさん
文京区は知識人が多かったからか、洋館が多く建てられて残っているんですよ。
求道会館を解説してくださった方は、さすが多分野に知識豊かでした。
小石川植物園はいい遊び場だと思っていましたが、giacomoさんの庭でしたか。
子供たるもの、あれぐらいの環境で遊ばないと本来通りに育たないですよね。
Commented by okuruma1970 at 2006-06-26 00:30
>>Celesteさん
逆に都内ど真ん中の方が、意外と人知れず残ってたりするんですよ。
小石川植物園って名前は聞いていましたが、想像以上に広大な敷地でした。
Commented by manaka987 at 2006-06-26 05:23
偶然洋館巡りとは!!
行ってきましたよ〜
Commented by iza at 2006-06-26 07:08 x
求道会館、ずいぶん近くをうろうろしているのに、知りませんでした。
今度行ってみよう。
小石川植物園のグリーティングカードは、お気に入りです。特に第一集。
Commented by okuruma1970 at 2006-06-26 23:45
>>manakaさん
日銀本店のライトアップありがとうございます。
 http://blogs.yahoo.co.jp/manaka306/archive/2006/06/26
三井本館とのあの並びは、目を見張るものがありますね。

>>izaさん
本郷通りから一本入るので、意識しないとお目に掛かれないかもしれません。
外観もなかなかですが、内部のスゴさは都内随一かも。
グリーティングカードって絵葉書でも売ってたのでしょうか?
入園券を売るタバコ屋にはなさそうな・・・。
Commented by tomo at 2006-06-27 02:04 x
万定フルーツパーラー、私はカレーを食べましたが美味しかったです。小粒ながら雰囲気のいい建物ですよね。
そういえば、以前書き込んだわらびもちの後日談。
おクルマさんの食べ方試してみました。すごくいいですね☆
しかし抹茶と白の半々は嘘でした。後日別々で売っているのを発見。抹茶は黒蜜がついてませんでした。
Commented by seiuchi-porsche9 at 2006-06-27 05:16
おはようございます。
生粋の江戸っ子だと、文京区と上野や浅草の話題が多くなる・・・そんなことを思い出しました。東大出ではないけれど(笑)、母校から近いので文京区はチョットだけ詳しいです。女子高も多い文京区ですので、今回の場所は当時の僕にとっては、洒落たデートコースでもありました(笑)万定フルーツパーラー・・・久し振りに行ってみようと思っています。僕が行っていた時代は、文京公会堂で「8時だよ!全員集合!」の生収録が行われていた時代ですから(笑)
Commented by okuruma1970 at 2006-06-27 22:28
>>tomoさん
小粒でも、現役で雰囲気があって中に入れるお店は貴重ですよね。
わらびもち、お楽しみいただけたようで良かったです。
黒蜜無しの抹茶タイプというのは、ある意味で興味津々です。

>>セイウチさん
さすが都心というか下町エリアにお詳しいのですね。
ちなみに私は、生粋の江戸っ子でも山の手っ子でもない、流浪の民です(笑)。
洒落たデートコースでした、なんて言ってみたかったです(全く無縁・・・)。
by okuruma1970 | 2006-06-24 20:00 | 洋館探訪記 | Trackback | Comments(14)

Peugeot306CabrioletとPorscheBoxster987のオープンカー2台生活だったのがBoxsterを手放したので本当は1台だけ、といいつつただの旅日記かも


by okuruma1970