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Peugeot306CabrioletとPorscheBoxster987のオープンカー2台生活だったのがBoxsterを手放したので本当は1台だけ、といいつつただの旅日記かも

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ホフマン輪窯と埼玉北部の洋館探訪

先週の日曜日25日に、埼玉県北部の洋館などを見てきました。


リンクさせていただいているPORSCHE系ブログのほか、建物系ブログも毎日のようにチェックしていますが、その中の一つで、深谷のホフマン輪窯が一般公開されるという記事を見付けて、急遽行くことにしました。

ホフマン輪窯とは、ドイツ人のホフマンが考案したレンガ焼成窯のことで、焼成を中断することなく、連続的に製造することができる窯です。
国内に4基(栃木県野木町、埼玉県深谷市、滋賀県近江八幡市、京都府舞鶴市)残っているものの、日本でいえば江戸末期に考案された技術であるため、いずれも使われておらず、保存されているだけです。

深谷市のホフマン輪窯は日本煉瓦製造という会社の施設でしたが、レンガ需要自体が減った上に、安い輸入品の影響もあって自主廃業し、土地と旧施設が深谷市に寄贈されました。
ただし安全上の理由(強度等を調査中とか)から、今時点は日常的には公開されておらず、ときどき一般公開されるだけになっています。

窯自体もレンガ製ですが、風雨をしのぐため、現在はトタンの建物に覆われています。
(近所の方が多かったですが、どこで知ったのか、何に興味があるのか、すごい混みようでした)
トタンの建物の中に入ると、右下のようなレンガの建物が現れます。

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輪窯はレンガで組まれたアーチ断面のトンネルのようになっていて、これがオーバルトラックのように一周つながっています。 一周100mあまり。

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下の写真で、カーブしているのがお分かりいただけるでしょうか。
ところどころに支柱のようにレンガが飛び出していますが、この仕切りで輪窯が18の小部屋に仕切られていて、粘度土を固めたレンガの材料を積み上げては、火を点けて焼成して、冷ましてから取り出す、という作業を順々にしていったそうです。

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天井に空いた穴は火力源の石炭の粉を落とす穴で、左側(窯の外側)の穴がレンガの搬出入口だったようです。

会社としては明治20年にレンガの生産を開始し、明治40年に建てられたこの6号窯で焼かれたレンガは、東京駅や法務省旧本館、碓氷峠のレンガアーチ橋などに使われたそうです。
先ほどご紹介した現存の4窯とも通常は非公開ですが、重要文化財でもあるこの窯は、適切な補強などの安全策を施して、近代化遺産として公開してもらいたいものです。






ホフマン輪窯のすぐ近くには、当時の工場事務所(重要文化財)も残っています。
この旧事務所は、ドイツから招聘した技師のチーゼ自らが設計した事務所兼住宅として明治21年に建てられ、その後は工場事務所として、また晩年は会社史料館として使われていました。

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レンガ工場の事務所なのにレンガ造りではありませんが、建物の基礎はレンガで組まれています。
チーゼはレンガ技師であったので、建物自体に華はあまりありませんが、あえていえば出入り口のアーチ窓ぐらいでしょうか。

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さらに敷地の外れには、レンガで組まれた旧変電所も残っています。 屋根妻のところに、電線を通していた丸い穴がいくつか開いているのがお分かりいただけるでしょうか。


これらの工場設備を有していた日本煉瓦製造株式会社の経営者の一人に、深谷出身の実業家・渋沢栄一がいた関係もあって、この地に工場が造られたようですが、その功績をたたえて記念館などが作られています。
渋沢栄一記念館は特に特徴ある建物ではないようですが、渋沢栄一に関係があった洋館が、深谷市郊外の大寄公民館内に移築保存されています。

誠之堂といい、第一銀行(現在のみずほ銀行の前身の一つ)の初代頭取だった渋沢栄一の喜寿(77歳)を祝って、行員がお金を出し合って大正5年に建てられた建物だそうです。
渋沢栄一の希望により、イギリスの田舎にある別荘風に建てられたとか。

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喜寿を祝ってと言っても個人の別荘として建てられたわけではなかった(銀行保養施設内に建てられた)ようで、寝泊まりする部屋はなく、基本的にテーブルを囲んで談笑する大部屋があるのみです。

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喜寿を祝った建物のため、天井の漆喰細工も「寿」の文字や鶴亀のモチーフなどが掘られていたりしていましたが、中国の故事になぞらえたステンドグラスもありました。

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極めつけは、暖炉の裏側に当たる外壁のレンガ装飾。
よ〜く見ると、レンガを組み合わせて「喜寿」と書いてあるのが読めますでしょうか(笑)。

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屋根上には風見鶏。
普通はNEWSで方位を表すのに、東西南北という漢字がいいですね。


すぐ隣には、同じ銀行の保養施設内に建てられていたという清風亭あり、大正15年に当時頭取だった佐々木勇之助のの古希(70歳)を祝って、行員がお金を出し合って建てられた建てられたそうです。
頭取がそれだけ慕われていたのか、下々には迷惑な募金を言い出した側近がいたのかわかりませんが、時代を感じさせるエピソードですね。
誠之堂のイギリス・カントリー風に対して、清風亭は当時流行のスパニッシュ(スペイン風)で建てられています。

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粗い仕上げの白壁はもちろんのこと、サンルームではなくアーチ開口で囲われた側廊風のバルコニーもスパニッシュ?
普通は外壁に使われるスクラッチタイル(引っ掻いたような筋が入っているタイル)が、暖炉周りほか室内の随所に使われていたりします。

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室内は、誠之堂と同じく大部屋1つの構成。
個人の喜寿・古希を記念しても、まぁ目的は社員集会所みたいなものだったのでしょうか。

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いずれの建物も、東京・世田谷の銀行保養施設内にあったものを、平成10年から2年かけてこの地に移築したそうです。
現在は深谷市の集会施設として、予約制で市民に開放されているそうで、今回はフラッと行って館内も見学できましたが、運が悪いと何かの集会で使われているかも知れません。


最後に行ったのが、ちょっと離れた本庄市のケーキ屋さん、ローヤル洋菓子店です。
特にケーキで有名なお店ではないと思います。主目的は建物です(笑)。
どう見てもケーキ屋さんというよりは工場みたいな雰囲気ですが、元は本庄商業銀行という銀行の倉庫で、当時の産品だった繭を収めていたようです。

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防火を考えてレンガ造りに鉄の扉になっていたようですが、繭という保管品の性質から、換気にも気を配った構造になっているようです。

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店内は普通のケーキ屋さんのイメージとは異なるとても高い天井で、1階天井は2階床の材木そのまま(?)の、まさにレンガ倉庫建築でした。

ケーキ食べられるから、と相方にニンジンをぶら下げて連れて行きましたが、店内に簡単なソファーとテーブルはあったものの、喫茶店のような雰囲気ではありませんでした(苦笑)。
建物奥にある工場部分から店舗にケーキを運んだと思われる箱が、今時のプラスチック製ではなく、使い込まれた木製だったりするあたりはレトロチックではありましたが、普通にはちょっと古めかしい昭和の香り程度だったので、いっそ大正モダン風のケーキ店兼喫茶店とかにすればいいのになぁ、とか思ったりもしました。
そんなわけで、お土産にケーキを2個だけ買うに留まりました。


この深谷・本庄エリアには、見たい建物がまだ数件あったのですが、日も傾き、お腹も空いてきたのでタイムアップ。
往きはホフマン輪窯の公開時間があったので高速を使って行きましたが、帰りは国道でテレテレ走ってきました。
久々の306だった(でも写真なし、失礼)ので、運転は苦になりませんでしたが、高速を使って2時間、国道で3時間。 意外と早く帰ってこられました。

関東近辺にはこういった建物があちこちにありますが、いつでも見られると思ってなかなか重い腰があがりません(苦笑)。
こういう期間限定公開とかがあると、いい機会になるんですよねぇ。
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Commented by suze(mon) at 2009-02-07 12:21 x
先日は情報ありがとうございました。
風もある日だったので、待ち時間は寒かったですね。
駅から出るコミュニティバスも、普段利用するお年寄りの他、見学会に向かうと思しきカメラを持った人が多数いました。
ちなみにこのコミュニティバス、1日券(バスの整理券みたいな券ですが)100円という安値です(もっとも、本数が少ないのですけど)。
Commented by azmomohiro at 2009-02-07 12:34
洋館など決して詳しく有りませんが
何故か惹かれます、洋風建築が好きなんですよね〜
また、レンガ作りの建物って色合いとかも好きなんです〜
Commented by kerokeropon at 2009-02-07 21:44
煉瓦のトンネルってなんだかタイムスリップしたみたいでいい雰囲気ですね。

こじんまりとした変電所にどこか惹かれるものがあります。
Commented by COOPER99 at 2009-02-08 20:28
TVか何かで見た覚えがありまふ。
このたまぁ~に入れるよってのが曲者で、入れた試がない。
根気のない人はだめねぇ~。
Commented by okuruma1970 at 2009-02-08 23:07
>>suzeさん
私も直前に知ったのですが、suzeさんの行動力には脱帽です。
前日にはテレビ放映もあったようですが、見学者が本当に多かったですね。
1日数本のコミュニティーバスは、観光客には不便でも、高齢者の足としては有用なのでしょうね。

>>azmomohiroさん
私も建築の詳しいことはよくわかりませんが、好きとか惹かれるとか、そういう感情を抱かせられますよね。
レンガ建築は、温かみがある感じがして、私も特に好きです。
Commented by okuruma1970 at 2009-02-08 23:20
>>kerokeroponさん
暗いトンネルだけでもどこにつながっているのか?と思ったりしますが、レトロな煉瓦トンネルだと、確かにタイムスリップしそうな雰囲気もありますね。
こじんまりした建物は隠れ家をイメージさせられるのか、いい雰囲気ですね。

>>COOPERさん
期間限定公開は、本当に曲者ですよねぇ。
仕事のアンテナは低いですが(苦笑)、趣味の方はアンテナ高くするようとがんばってます。
Commented by at 2009-02-10 12:00 x
こんにちは。
さすがokurumaさま、しっかりチェックしていらっしゃいますね。
この一日はまさに煉瓦尽くしですね!!
銀行のあのただっ広い部屋、当時のビジネスマンが集っていたのかと思うと、惹かれます。
やっぱりしっかり調べないといけませんね。
私、先日横浜開港Y150企画の藤森先生さまのご講演に抽選で
見事に外れ、かなりテンションが下がっています。
今見ておかないと、また葉っぱが生い茂っちゃうのに…
Commented by okuruma1970 at 2009-02-11 10:19
>>釉さん
似た嗜好っぽい方のブログを見ていると、興味ある情報が得られることもありますね。
インターネット全盛の昨今、情報が多くてうれしい反面、多すぎて焦点を定めきれない困惑もあります。
大イベントで藤森教授の講演だと、やはり人気なのでしょうね。
横浜にお住まいだと興味は人一倍だと思いますが、また似た講演もあると思いますよ。
確かに今の時期は、撮影にいい時期なんですけどね(笑)。
Commented by Y.araki at 2009-06-13 18:31 x
okumura1970様

ホフマン式レンガ窯つながりでこちらのブログにアクセスさせて頂きました。

栃木県野木町のホフマン式レンガ窯の近況をレポートするブログを書いております。

もし宜しかったらご参照下さい。

アドレスはこちらです。
    ↓
http://ameblo.jp/nogimachi
Commented by okuruma1970 at 2009-06-14 03:59
>>Y.arakiさん
ようこそいらっしゃいました。
シモレンのホフマン窯も見てみたいと思っていますが、遠巻きでも希に見られる機会があるのですね。
ときどきチェックさせていただきますので、見られる機会がありましたら、ブログでお知らせくださいね。
ホフマン窯の様子、これからも楽しみにしています。
by okuruma1970 | 2009-01-25 20:27 | 洋館探訪記 | Trackback | Comments(10)